経験者が語る『社会不安障害(SAD,対人恐怖症)の克服方法(理想編)』

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セシル

こんにちは,心理ブロガーのセシルです🍀

 私は,約30年かけて『社会不安障害(SAD)』を克服することができました (^^♪

 今回は,社会不安障害を克服した私の体験に基づいて,理想の克服方法をご紹介させていただきます。

目次

社会不安障害(SAD,対人恐怖症)とは??

 『社会不安障害』とは,ひとことでいえば『対人恐怖症』『あがり症』のことです。

 大勢の人の前で発表を行う時など,主に人から注目を浴びる場面で過度に緊張してしまい,さまざまな症状を伴う病気です。

 社会不安障害は,英語でSocial Anxiety Disorderと表記され,SADと略されます。

 最近では,“社交”不安障害とよぶのが一般的です。

経験者が語る『社会不安障害(SAD,対人恐怖症)の克服方法(理想編)』

 私が社会不安障害(SAD,対人恐怖症)だった頃,人前で話したり,異性(女性)と話すことがとても苦手でした。

 そんな私が社会不安障害を克服した経験をふまえて,病気の克服に向けた理想的なステップをご紹介いたします。

ステップ 1:心療内科・精神科を受診する

 まず,心療内科・精神科を受診しましょう。

 病気の症状にはそれぞれ程度や差がありますし,社会不安障害と似た症状として,『全般性不安障害』や『パニック障害』などの病気もあります。

 また,社会不安障害は『うつ病』や『うつ状態』とも関連が深い病気です。

 自己診断ではなく,医師に相談して自分の状態を客観的に理解することが大切です。

 社会不安障害は投薬によって治療することができます。

ステップ 2:カウンセリングを受ける

 カウンセリングを受けることは,あらゆる悩みにとって非常に有用です。

 カウンセラーに自分のことを話して問題を整理することができます。

 頭のなかで1人で考え続けるよりも,目の前の人に悩みを言語化して伝えることで,普段は気づかない新たな発見もあるかもしれません。

 カウンセリングについて,ただ話を聞いてもらうだけと思われるかもしれませんが,

 カウンセラーには守秘義務がありますし,専門のカウンセリングは日常生活では得られないコミュニケーションです。

 ただし,カウンセラーとの相性もあるため,医師やカウンセラーの先生に対して過度な期待を抱くことは禁物です。

 あなたの考えや抱えている問題を十分に整理するために,一度カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

ステップ 3:認知行動療法

 事情があって,病院にもカウンセリングにも通うことができないという方,自力で克服したいという方は「ステップ3」から実践していただいても大丈夫です。

 ただ,あくまでも「ステップ1」からの実践を推奨しますし,途中で切り替えても大丈夫です。

 『認知行動療法』とは,考え方や行動の癖(偏り)を改善して,症状を改善していく治療方法です。

 たとえば,テストで70点を取った時に,

 「100点に全く届かなかった。自分はダメな人間だ。」と思うか,

 「今回は70点だから,あともう少しだ。次また頑張ろう」と思うかで,

 全く違う結果(心理状態)になります。

 悩みの元になるゆがんだ認知(考え方)を改善することで,次第にポジティブな考え方が癖づいて,物事のとらえ方や行動が良い方向に変わっていきます。

 私は『認知行動療法』を日々実践していますし,考え方や行動は生涯にわたって洗練していくものだと思っています。

ステップ 4:成功体験を積む

 社会不安障害(SAD,対人恐怖症)の克服するためには,「成功体験を積む」ことが最も大切なことだと思います。

 社会不安障害である方は,著しく自信が欠如している状態であるとも言い換えられます。

 誰かがあなたを褒めてくれても全てお世辞にとらえてしまいますし,自分自身が心から自分を認めることができなければ確かな自信をもつことはできません。

 何事にも自信をもって取り組むことができれば,そんなに緊張することはありませんよね。

 「成功体験」を小さな事から積み重ねましょう。

 いきなり大きな事は誰でもできませんし,失敗をしてトラウマを作ってしまっては元も子もありません。

 「今日は昨日よりも一歩を踏み出す」ことで,少しずつレベルアップしていきましょう。

 たとえば,

 「テストで赤点をとったから次は赤点を取らない」

 「アルバイトができるようになりたいから,まず1日だけのアルバイトに挑戦しよう」

 など,成功体験は何でも良いです。

 そして,目標を達成したり,新しいことに挑戦することは,誰でも難しいことですから七転び八起の精神で取り組むことが大切です。

 失敗した時もステップ3の『認知行動療法』を実践して,

 「ダメだった」

 ではなく

 「挑戦することができた」

 「人生経験を得られた」

 などに変換するようにしてください。

経験者が語る『社会不安障害(SAD,対人恐怖症)の克服方法(番外編)』

 私が社会不安障害を克服した経験をふまえて,理想的なステップとは異なる方法を『番外編』としてご紹介させていただきます。

克服のための練習

 日々の社会生活のなかで,社会不安障害(SAD,対人恐怖症)を克服するための練習をしましょう。

 たとえば,

 「人の目を見て自分からあいさつをする練習をする」

 「発表やプレゼンの前に1人でカラオケに行って発表練習をする」

 「家やカラオケで1人で歌って練習をする」

 などのことができます。

 練習すればするほど,プレゼンや歌は上達しますし,その場の雰囲気にも慣れることができます。

 私が高校生の頃に友人とカラオケに行った時,友人のなかで私1人だけ緊張してまともに歌うことができず,笑われてとても恥ずかしい思いをしたことがあります。

 学生の頃は家で小さな声で歌ったり,親しい方と2人でカラオケに行って,少しずつ人前で歌うことに慣れる練習をしていました。

克服のための荒治療

 ここでいう “荒治療” とは,「恥をかく覚悟で強引に最前線で戦うこと」です。

 まずこの方法はおすすめできませんが,実際私はこれが一番効きました。

 というのも私は大学院で研究をしていたため,ゼミや学会で何度も人前に立って発表をしなければなりませんでした。

 初めは緊張しすぎて,見ている側が分かるほど声も体もふるえましたし,研究経験の乏しい私はたくさん恥ずかしい思いをしました。

 他の方がすぐに慣れて適応していくのに,私はなかなか慣れることができませんでしたが,

 初めての緊張に比べれば,少しずつ緊張や不安は小さくなっていきました。

 また,研究の発表は基本的にディフェンスをする立場なので(決して褒められる場ではない),

 何度も質問や追求されて,声がどもってしまうことも多々ありました。

 これでもかというくらい恥ずかしい思いをしたことで,今では「恥をかいてなんぼ」というくらいに思えるようになりました。

 この私の経験に関しては,強制的に避けられない状況にいたからこそできたことであり,

 自らの意思で行うという場合には,あまりおすすめできません。

 極度の緊張や失敗を経験することで,より不安を感じるようになり,そのような状況をより避けるようになるかもしれないからです。

 それらを承知したうえで,挑みたいという方には “荒治療” という方法もあるかもしれませんね。

 結局は自分に合ったやり方がベストですから。

 また,望まずにそのような状況になってしまった時は

 「自分は荒治療をしたんだ」

 「挑戦したんだ」

 と肯定的にとらえることができますね。

社会不安障害(SAD,対人恐怖症)の克服方法:まとめ

 いかがでしたでしょうか。

 今回は,あくまで「社会不安障害(SAD,対人恐怖症)の克服方法」に焦点を当てましたが,病気の完全克服にまでいかなくとも,

 症状を緩和したり,自分の大切な個性として受け入れて上手に付き合っていく事も私は一種の克服だと思っています。

 今では人前で発表をしたり,カラオケで歌うこともある私ですが,

 決して緊張が0になったというわけではありませんし,ある程度の緊張や不安は生きていくうえで必要な感情だと思います。

 同じ症状に悩まれている方の心が少しでも軽くなることを願っております🍀

セシル

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【参考文献】

福西 勇夫 (監修) (2008) . 不安障害がよくわかる本
  主婦と生活社

福西 勇夫 (監修) (2019) . ウルトラ図解 不安障害と
  パニック——正しく理解して対応・克服する
  ためのガイド—— 法研

貝谷 久宣 (監修) (2017) . 社交不安症がよくわかる本
  講談社

木村 昌幹 (2009) . 精神科医が書いたあがり症はなぜ
  治せるようになったのか 現代書林

岡田 尊司 (2019) . 社交不安障害——理解と改善のための
  プログラム—— 幻冬舎

清水 栄司 (2014) . 自分で治す「社交不安症」 法研

山田 和夫 (監修)・山田 和惠 (監修協力) (2014) .
  図解 やさしくわかる社会不安障害 ナツメ社

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