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犯罪心理学: 無差別殺人の心理,犯人の生い立ちと動機,日本社会の闇

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セシル

こんにちは,心理ブロガーのセシルです🍀

 今回は,「犯罪心理学: 無差別殺人の心理,犯人の生い立ちと動機,日本社会の闇」について,研究で得られている知見と私の考察を交えてお話させていただきます。

(※本記事は犯罪者を擁護するものではありません)

目次

無差別殺人とは??

 『無差別殺人』とは,公的な場所(学校や商店街など)において,多数の人を殺害することです。

 無差別殺人は,凶悪犯罪であり,決して許されない行為ですが,その多くは加害者の「生い立ち」や「生活状況」などと深い関わりがあります。

犯罪心理学: 無差別殺人の心理,犯人の生い立ちと動機,日本社会の闇

 無差別殺人犯の心理や動機,生い立ちについて考察します。

不遇な生い立ち

 無差別殺人犯の多くが不遇な生い立ちで大人になっています。

 家庭での虐待やいじめ,周囲の環境や人間関係にも恵まれずに育ち,生活の貧困や社会的に孤立している人が多いです。

 無差別殺人犯に限らず,犯罪者の多くが不遇な生い立ちであることは珍しくなく,たとえば窃盗などの犯罪にも貧困が大きく関係しています。

孤独

 無差別殺人犯は,つらい『孤独』を抱え続けています。

 法務省の法務総合研究所の報告書によれば,無差別殺人犯の多くは男性であり,交友関係や親族関係が希薄であり,犯行当時に交際相手のいる者はほとんどいなかったことが分かっています(法務省,2013)。

 そもそも「犯罪」と「孤独」は切っても切れない関係にあり,一般的に,配偶者の有無が再犯率にも影響すると考えられています。

心の闇(深い憎しみと強烈な劣等感)

 無差別殺人犯の多くが,深い “心の闇” を抱えています。

 過去のいじめや周囲からの孤立,職場などでの不遇な扱いによる「憎しみ」や,社会に適応できていないという「劣等感」を抱えていることがあります。

 以前,私は,犯罪心理学の研究会で,「なぜ,恨みのある人物に対してではなく,無差別な犯行に向かうのか?」という質問をしたことがあります。

 すると,犯罪心理学者は「元々はそれぞれの場所で憎しみが生まれ,それがどんどん大きくなり,やがて社会全体を憎むようになる」と答えました。

 無差別殺人犯の多くが,人生における様々な場所でのストレスや不満を抱え続けており,世の中あるいは人そのものを憎むようになると考えられています。

性格傾向

 犯人と同じ境遇であれば,誰もが同じ犯行に及ぶのかというと,全くそんなことはありません。

 むしろ,ほとんどの人は犯罪をしません。

 無差別殺人には,犯人の性格傾向も深く関わっています。

 無差別殺人犯の性格は,敏感で,自信がなく,自己を卑下しやすいということが報告されています(法務省,2013)。

 また, 「攻撃性」が全くない人物が人を攻撃することも考えにくいです。

 実際に,無差別殺人犯の約半数に前科があり,犯行前に何らかの問題行動があった場合が多いことが分かっています(法務省,2013)。

将来への絶望

 どんなにつらくても,希望があれば,意欲的に生きていけます。

 ただ,つらいことばかりで,どう足掻いても現状から抜け出せないと感じると,将来に対して悲観的になり,希望や意欲を失ってしまいます。

 心理学では『学習性無力感』といい,人は努力しても報われない結果が繰り返されると,次第に努力することをやめてしまいます。

 無差別殺人犯の多くが,これまでの人生に絶望し,未来への希望を失い,破壊的な衝動に駆り立てられていくと考えられます。

精神疾患

 殺人事件の刑事裁判において,被告人の精神鑑定が行われることは珍しくありません。

 ですが,「精神疾患」と「犯罪」は全くイコールではありません。

 精神疾患には,さまざまな種類がありますし,それぞれ程度も異なります。

 誰でも体の病気やケガをしたことがあるように,心の病気も非常に身近なものです。

 ただし,無差別殺人犯の特徴として,精神障害等があったり,パーソナリティ障害と診断されたことのある人物が多いことも事実です(法務省,2013)。

日本社会の闇 ~悲しい事件が起きない社会を目指して~

 まず有効な犯罪の防止策は,個人や環境による防犯意識や警備の強化など,直接的に犯罪を防ぐ手段です。

 ですが,ここでお話ししたいのは,無差別殺人のような犯行動機を生まない社会の実現です。

 無差別殺人は,決して許されることのない凶悪犯罪ですが,この問題を根本から断ち切るためには,社会から変わっていく必要があります。

 よく「みんなに価値がある」「生きているだけで価値がある」という言葉を耳にしますが,この言葉は偽善と言わざるを得ません。

 なぜなら,実際には全くそうなっていない世の中であることは言うまでもありませんし,本当に誰もが承認される社会であれば,こんなにも心を病む方がたくさんいるでしょうか。

 「京都アニメーション放火殺人事件」の加害者は,治療に携わった医療スタッフに対して「人からこんなに優しくしてもらったことは,今までなかった」と伝えたとのことです(京都新聞,2019)。

 私は,殺人犯を擁護するつもりは一切ありませんが,やはり,環境の影響も大きいと思われます。

 イギリスの機関『チャリティーズ・エイド・ファンデーション』が世界の120か国以上を対象に行った調査によれば,人助けの面において,日本人は世界最下位という深刻な結果が示されました(CAF,2019)。

 日本は,衣食住はもちろん,あらゆる面で非常に恵まれた国であるにも関わらず,主要先進7か国のなかで自殺率が1位の国です(厚生労働省,2022)。

 これらのことからも,「日本人は他人に冷たい」という事実をまずしっかりと受け止め,社会全体で改善していく必要があると思います。

 『孤独』は,年齢や性別に関係なく生じる状態や感情ですから,誰にでも自分を認めてくれる “居場所” が必要なのです。

 誰でも簡単にアクセスできる “居場所” がたくさんできることで,ほんの少し世界は変わると思います。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。

 今回は,「犯罪心理学: 無差別殺人の心理,犯人の生い立ちと動機,日本社会の闇」について,研究で得られている知見と私の考察を交えてお話させていただきました。

 まず,大前提として,人を殺める行為は決して許されませんし,加害者を擁護するつもりは一切ありません。

 無差別殺人の場合,全く関係のない方々の命や同じようにつらく苦しい思いを抱えている人の命も奪っています。

 巻き込まれた方々の苦しみや無念さはもちろん,ご遺族の方々の悲痛な思いを考えると,強い憤りを覚えます。

 このような悲しい犯罪をなくしていくために,社会そのものが変わる必要があるということが本記事の主訴です。

 加害者を生まないことが,被害者を生まないことに繋がります。

 非常に難しい問題ですが,根本的に解決するためには,個人の努力だけではなく,社会全体で課題に取り組むべきだと思います。

セシル

最後まで読んでくださりありがとうございました🍀

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【引用文献】

CAF (2019) . Ten years of giving trends.
  CAF WORLD GIVING INDEX, 10.

法務省 (2013) . 無差別殺傷事犯に関する研究
  法務総合研究所研究部報告, 50.

厚生労働省 (2022) . まもろうよ こころ
  自殺対策の今 自殺対策の概要
  厚生労働省ウェブサイト Retrieved from
  https://www.mhlw.go.jp/mamorouyoko
  koro/taisaku/sesakugaiyou/
  (2023年3月10日)

京都新聞 (2019) . 京アニ事件容疑者「こんなに
  優しくされたことなかった」 医療スタッフ
  に感謝,転院前の病院で
  京都新聞社ウェブサイト Retrieved from
  https://nordot.app/56783173554764297
  7?c=39546741839462401
  (2024年4月21日)

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