こんにちは,心理ブロガーのセシルです🍀
今回は,「【心理学】『言語的攻撃』:批判と誹謗中傷の違いとは??」についてご説明させていただきます。
『批判』と『誹謗中傷』の違いとは??
『批判』とは「物事の可否に検討を加え,評価・判定すること」,「誤っている点やよくない点を指摘し,あげつらうこと」です(スーパー大辞林)。
批判は自由な意思表示でもあり,憲法第21条で保障されている『表現の自由』からも正当な権利です。
『誹謗中傷』とは,『誹謗』が「他人の悪口を言うこと」であり,『中傷』とは「根拠のない悪口を言い,他人の名誉を傷つけること」を意味します(スーパー大辞林)。
したがって,批判が物事に対する評価や指摘であるのに対して,誹謗中傷は他人を傷つける悪口であるため,両者の違いは悪口を含むかどうかです。
ただし,批判と誹謗中傷の線引きが難しいケースは多々あると考えられます。
『批判』と『誹謗中傷』は攻撃か??
心理学的には,『批判』も『誹謗中傷』も他者への『攻撃』であると解釈できます。
他人に物理的な暴力をふるうことだけが攻撃ではありません。
心理学では,批判や非難,悪口などは『言語的攻撃』に分類されます(Averill, 1982; 大渕, 2001)。
たとえば,政治家やコメンテーターが激しく批判し合い,ヒートアップして攻撃的になっているシーンはよくありますよね。
『批判』と『誹謗中傷』の完全な線引きは難しい
『批判』と『誹謗中傷』を完全に切り分けることは非常に難しいです。
もちろん,悪口や人格否定のような内容が含まれれば誹謗中傷と言えますが,微妙なケースも多いです。
では,例を見てみましょう。
例 ①「下手くそ」
例えば,相手自身を否定する「下手くそ」という言葉は完全に悪口ですし,これは誹謗中傷です。
例 ②「彼は実力が乏しい」
これは正当な評価と言えそうですが状況にもよります。
面接や審査であれば正当な評価かもしれませんが,相手を貶める目的で周囲に流布すれば誹謗中傷となる可能性も考えられます。
発言の動機や意図によっても,判断が変わることがあります。
例 ③「こんな考え方をするなんて人として信じられない」
こちらもよくある批判に見えそうですが,人として信じられないというのが人格否定と言えそうです。
相手のことを人とは思えないという発言であると解釈できるからです。
例 ④「信号無視をしてはいけない! ルール違反をする人は頭がおかしい」
この場合,「信号無視をしてはいけない!」は正当な批判ですが,「頭がおかしい」という誹謗中傷も含まれています。
このように批判と誹謗中傷が混じっているケースも非常に多いです。
それゆえ,批判であると信じて,誹謗中傷をしていることに気づかない人もいます。
『批判』なら問題はないのか??
そもそも誹謗中傷でなければ問題はないのでしょうか??
批判なら何でもありなのでしょうか??
繰り返しますが,『批判』は自由な意思表示でもあり,憲法第21条で保障されている『表現の自由』からも正当な権利です。
したがって,批判であると判断されれば,法的には問題がないと言えます。
ですが,批判も間違いなく対象者にダメージを与えます。
企業であれば信用問題に関わりますし,過度な批判によって対象者を精神的に追い込んでしまうケースもあります。
心理学的には,批判も攻撃として受け取られる場合があり,権利上,問題はなくても人間関係や精神面に悪影響を及ぼすこともあるのです。
また,発言内容に問題がなくても,言い方や態度が高圧的であれば,パワハラに該当することもありますね。
厳罰化について
誹謗中傷を行った人は,犯罪として刑事責任を問われる場合があります。
2022年7月7日より,侮辱罪の法定刑が引き上げられました。
インターネット上の誹謗中傷対策として,侮辱罪が厳罰化されたことは良いことだと思います。
インターネット社会において,過激な誹謗中傷行為を繰り返す方は一定数います。
ですが,インターネット上での書き込みは証拠として残りますから,誹謗中傷の被害を受けた方は,法的な対処をする可能性に備えて,証拠を保存することが大切です。
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【引用文献】
Averill, J. R. (1982). Anger and agression:
An essay on emotion.
New York: Springer-Verlag.
大渕 憲一 (2001). 攻撃行動 土田昭司(編)
シリーズ 21世紀の社会心理学Ⅰ
対人行動の社会心理学 ――人と
人との間のこころと行動――
(pp. 82-91) 北大路書房
スーパー大辞林 (三省堂書店)
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